ブレストまで何マイル?
ブルベ中心のロードバイクの走行記など

PBP2023 #1 移動編

9月 3rd 2023 in ブルベ

はじめに

2023年は4年に1度のParis Brest Parisの年。
PBP用にクロモリフレームのバイクを新調したものの、2019年のPBPはDNFという結果に終わってしまったため、次は雪辱を果たしたいと期していました。幸い、新型コロナウイルスの影響を受けずに予定通り2023年にPBPが開催される運びとなったので、今回もエントリーしました。
2015年、2019年に続いて3回目のPBP参加です。

フランスへ


出発。

今回も追加料金なく航空機に預けられる三辺合計203cm以内の輪行箱を使いたかったのですが、いざバイクを分解しようとしたところシートポストが固着しており、バイクショップに相談したところ破損リスクを伴う作業が必要とのこと。仕方なく、少し大きめのQBICLEバイクポーターSTDを急遽購入して使用しました。
飛行機積載料金は往復3万円ほどでした。


今回は00:05発の便を使いましたが、深夜に出発して朝に到着するので機内で眠ると時差ボケにならないのでとても良かったです。


機内食でいきなりパリブレスト。嬉しい心遣い。

旅費

トランジットでのロストバゲージを避けるため、2019年と同じくエールフランスの直行便を選択。2019年の際の往復航空券は17万円でしたが今回は約32万円と大幅に値上がりしていました。
前回に比べてかなり円安が進んでいる(2019年8月のユーロ円は118円、今回は158円)の上、ウクライナ戦争の影響でロシア上空を迂回していることが原因だと思われます。


ロシアを迂回する航路でフランスへ

追加の観光費用を含まないPBP関連の旅費は前回の約30万から約50万と大幅に増えてしまいました。
次回行く際には円安・ロシア情勢が改善していてほしいものです。

到着〜移動


シャルル・ド・ゴール国際空港ターミナル2Eに到着。Oversized Baggageエリアに輪行箱がでてきました。同じバイクポーターの箱が4つも出てくるなど明らかにPBP参加者が多かった。
今回のPBP日本人参加者は364人とそれなりの人数であり、移動日付近のフライトには自転車積載依頼が殺到していたようです。別のANA便では40箱もあったとか。同じ箱も多いのでステッカーなどで取り違えを防止する必要がありそうです。事前に申告しておくことも必須だと言えます。


この日はOpera座近くに宿を取ってロワシーバスで移動。シャルル・ド・ゴール国際空港のRER駅は出口から遠く移動が大変ですがバス乗り場は近くて楽でした。大きめの輪行箱の積載も問題なし。


いきなりパリの中心に出られるのでとても便利です。

この日はホテルに荷物を預けてパリを観光し、翌日ホテルからuberでモンパルナス駅に向かい、サン=カンタン=アン=イブリーヌのホテルに移動しました。

毎回、シャルル・ド・ゴール国際空港からサン=カンタン=アン=イブリーヌへの移動手段に悩むのですが、この移動経路はパリ観光を挟むパターンとしてはアリなのではないかと思いました。

パリの地下鉄駅には基本的にエレベーターとエスカレーターがなく、輪行箱を持って電車を乗り継いでいくことは困難です。ターミナル駅であるモンパルナス駅からN線でサン=カンタン=アン=イブリーヌやランブイエに移動することができるため、シャルル・ド・ゴール国際空港からモンパルナス駅への直通バス(Le Bus Direct)が有用だったようなのですが、2020年に廃止されてしまいました。

現在、輪行箱を持ってシャルル・ド・ゴール国際空港からPBPスタート地点付近に移動する選択肢は以下だと思います。

  • 選択肢1:CDG→配車サービスでサン=カンタンやランブイエに直行(200ユーロ程度)
  • 選択肢2:CDG→配車サービスでモンパルナス駅→N線で移動(100ユーロ程度)
  • 選択肢3:CDG→ロワシーバスでオペラ座→配車サービスでモンパルナス駅→N線で移動(80ユーロ程度)
  • 選択肢4:CDG→RER B線でダンフェール・ロシュロー駅→徒歩or地下鉄でモンパルナス駅→N線で移動(20ユーロ程度)

2019年は選択肢(4)で移動しましたが、エスカレーターのない駅で輪行箱を持って移動することは極めて困難です。当時は肩紐のある袋に輪行箱を入れていたのでなんとか移動できましたが、二度とやりたくないと思うほどつらかったです。また、大きめの輪行箱だったので今回は不可能でした。

少々割高ですが、選択肢(1)が無難だと思います。輪行箱にキャスターがあり駅近のホテルを確保できているなら選択肢(2)も良いかもしれません。なお、配車サービスはuberがスタンダードのようでした。


モンパルナス駅にはエスカレーターがあり安心


大規模駅・モンパルナス。


サン=カンタン=アン=イブリーヌに到着

前々回、前回に続いてホテルはサン=カンタン・アン・イブリーヌに確保しました。サン=カンタン・アン・イブリーヌはランブイエまで一本で出られること、日本のドロップバッグ業者のバッグ受け渡しポイントでもあるので手間が省けるという利点があり、駅前のショッピングモールが巨大でなんでもそろうのでとても便利な街です。
今回のホテルは駅近のCampanile Saint-Quentin-en-Yvelinesを選びました。移動にストレスなくとても良かったです。


ホテルに到着

ある意味ではPBP最大の懸念である現地ホテルへの移動が完了しました。あとは、準備して走り始めるのみです。

(事前受付とトラブル編へ)


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(前編からの続き)

南稚内(303km)→PC4(452km)
仮眠後、スマホの天気を見ると「現在雨は降っていません」の表示。しかし外に出てみるとそれなりの雨が降っていました。二日目は晴れるはずだったのに、最初から降っているじゃないか。

慌ててレインジャケットを着て再スタートしたため少し時間を食ってしまい、ホテルを出たのは3:50。約40分の借金を背負ってのリスタートです。
停止時間が4時間もあるわりには2時間しか睡眠時間がとれていなかった点は反省点。

南稚内を出てしばらくは追い風で軽快に進むも、すぐに風が弱くなり追い風ブーストがほとんどなくなってしまいました。

6:08 豊富温泉到着。到着時点で借金7分。
少し手前のセイコーマートは営業時間外で入れなかったのが痛いところ。

https://twitter.com/sakaki041/status/1550963197968097286
6:56 幌延のセイコーマートで補給。
ここまでは20km/h以下のスピードしか出ていなかったですが、この後ペースが回復しているのでここでの休憩が良かったようです。

8:49 道の駅なかがわ。ここでも手持ちの補給食を食べてゆっくり休憩。
余裕はないけれど、急ぐほどの力は残っていません。

https://twitter.com/sakaki041/status/1551041844913504257
音威子府のセイコーマートでも休憩するなど、少し走っては休憩するというまずいパターンの行動を繰り返しながら、PC4には12:09に到着。到着時点の貯金1時間。
幌延以降はコンスタントに22km/h程度のスピードを出すことができ、なんとか貯金を作ることができて一安心。この時点では雨がやんでいたのも救いでした。

PC4(452km)→ゴール(601km)
一時間の貯金を持って、最後の難所の美深峠に向かいます。

峠に差し掛かったところで雨が振り始めてしまい、レインジャケットでのヒルクライムになってしまったのが残念。雨装備でハードな運動をすると発汗が激しくカロリー消費が多く、服も内から外から濡れてしまい、良いことがありません。

北海道の峠は斜度が緩く、美深峠は難なくクリア。峠の頂上での時刻は14:00。この時点での貯金はわずか20分でした。

https://twitter.com/sakaki041/status/1551109166072320000
この後は下り基調ですが、睡眠時間の短さがたたりペースダウン。音楽を聞いたり、道の駅ほろかないで休憩したりなどしながらどうにか進みます。

PC5の沼田に近づくと雨が上がり始めました。眠気も飛んで次第にペースも上がりはじめ、沼田には19:24に到着。
最後の滝川までのド平坦区間はなんなく進み、21:13ゴール。タイムは38:13でした。

終わりに
今回の宗谷岬600は例年とは天候が全く異なりとても厳しいものだったそうです。前回まで2回連続で600kmブルベをDNFしている中、悪天候のブルベを完走できた理由を自分なりに挙げてみるとこんなところでしょうか。

日没時にびしょ濡れのインナーを着替え、体を冷やさずに宗谷岬に向かえたこと。
3.5時間の貯金を持って仮眠場所に到達できたこと
荒天のため、ホテル宿泊の回復効果が大きかったこと。
前回までの2回連続DNFと、北海道・宗谷岬という特別感のある場所によって、強烈な目的達成意識を持てたこと
雨ブルベ対策(補給カロリー多め、仮眠時の衣服乾燥法など)
(機内で読んだ「雨天ライド攻略本」がとても役に立ちました。baruさん・サメハルさんに感謝)

弐号機マスコットをつけていたこと

無事に認定されていれば、今年もSR達成です。印象深い600kmブルベでした。晴れている時にまた走ってみたいものです。

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トラブル発覚
ホテルのチェックインは14時からですが、12時頃に到着したところ部屋の準備ができているとのことで運良くチェックインできました。早速ロードバイクを組み立てます。

Campanile Saint-Quentin-en-Yvelines

試しに乗ってみるとチェーンがアウターに入らない。あれ、おかしいな?と思ってよく見たところ・・・

破損したチェーンリング

なんと、アウターのチェーンリングが大きく歪んでおり、内側は酷く割れている状態でした。チェーンリングが歪んでいるためクランクが半回転もするとチェーンが脱落してしまいます。

飛行機輪行中に破損したようですが、プラスチックダンボールの輪行箱には傷はなく、外部から非常に強い力がゆっくりと加わったようでした。自転車の積載が多かったので、輪行箱を積み上げるような形で飛行機に載せられたのかもしれません。

アウターは使用不可能ですがインナーは使えたので、どうにか自走できる状態だったのは不幸中の幸いでした。気を取り直して、まずはランブイエの前日受付に行くことに。なかなか前途多難です。

事前受付

ランブイエ駅の様子

サン=カンタン=アン=イブリーヌ駅からN線でランブイエ駅へ移動。駅はランドヌールでいっぱいです。皆、同じ受付に向かっているので、ついて行くと到着。

Bergerie nationale de Rambouillet
2019年にも来た懐かしい受付場所です。左の建物で事前に購入したジャージ、ジレ、フレームバッジやリストバンドなどを受け取って受付完了。

受付の様子
受付に行く時刻はエントリー時に申請しているのですが受付時刻をチェックしている様子は全くなく、単にフレームナンバーをみて袋を取りに行くだけの運用でした。受付時間の指定は混雑を避けるためのもので、実際には何時に取りに行っても問題ないようです。2019年も同じでした。

(わかりにくいですが)右側の建物から続く列

もう一つの建物では、ジャージのサイズ変更や追加ジャージ購入、それにポスターやTシャツの販売が行われていました。長蛇の列でしたが、時間に余裕があったのでのんびり並んでポスターやTシャツをゲット。段ボール箱に入れてくれたので、ポスターを折ったりすることなく日本に持ち帰ることができました。

見取り図

受付の地図はこんな感じ。左側の「Check-In」が事前受付の建物、右側の「pointage carnet」が当日の車検場所、右上の赤い「Arrivee/Finish」がスタート&ゴールゲートです。
2019年は事前受付の際に車検を行う形でしたが、2023年は当日のスタート前に車検を行う流れとなり場所も変更されていました。

トラブルリカバリー
さて、受付は終わったもののアウターは完全に使用不能な状態です。
このような壊れ方は初めてで、チェーンリング以外にどこまでのダメージがあるのか見当がつかない。他の箇所にもダメージがあるのなら、1200kmも走れないかもしれません。

あまりにも酷い壊れ方なので問題に向き合う気持ちになれず、呆然としてしまっていました。茫然自失というやつです。

上の空でチェーンリング破損についてツイートしていたのですが、ブルベクラスタの方々が次々と反応してくださり、現地の自転車店の情報を教えてくださったり、ショップにパーツの在庫がないかを聞いてくださったりと皆で助けてくれました。

ダメージの全容が不明なので一軒目ですべてが解決するかどうかはわかりませんが、まずはプロショップで診てもらう必要があります。教えていただいたランブイエの自転車店、Culture Vélo Rambouilletに向かいます。

Culture Vélo Rambouillet

修理の様子

ショップに持ち込んで状況を説明。酷く歪んだチェーンリングを見て驚いた様子ですが、すぐにパーツ交換を行ってくれました。

幸いアルテグラのチェーンリングの店頭在庫があり、手際良く作業してくれて10分程度で交換完了。念のためインナー側も交換しました。2枚のチェーンリング交換とディレイラー調整をお願いしましたが、明細を見るとパーツ代のみで工賃は請求されていないようです。対応も良く、とても良心的なお店でした。

店内の様子

このCulture Vélo Rambouilletではコンポーネントなどのパーツやタイヤ、工具、自転車本体やウェアに至るまであらゆるロードバイク用品が揃っているお店で、東京都内で例えるならワイズロードの旗艦店やなるしまフレンドに相当するような規模でした。
大げさに言えば、どのような忘れ物をしていても、どのような壊れ方をしていたとしても、このお店にたどり着くことができればPBPに出走できる状態にできそうです。

最悪の場合、修理してくれるお店を探してパリの自転車店を何軒も周り続けることを覚悟していましたが、スタート地点近くの自転車店で解決することができてしまいました。最悪のトラブルでしたが、最良最短のリカバリーができたと思います。

無事に交換されたチェーンリング。

復活ッッ!!

懸念されたその他の部分のダメージはなし。トラブルは予想外でしたが、Twitterの皆さんに実際にこんな風に助けていただけるとは全く想像していませんでした。ただただ、感謝です。

謝辞

チェーンリングが割れてアウター使用不能という酷いトラブルに気づいたのが8月18日の13:40。
https://twitter.com/sakaki041/status/1692501718653641016

多くの人にサポートしてもらい、ランブイエの自転車店で修理が完了したのが8月18日の16:55でした。
https://twitter.com/sakaki041/status/1692550726206066833

トラブル発覚から3時間で修理が完了したことになります。パリ・モンパルナスから50km以上離れた片田舎の小さな街でこのトラブルが短時間で解決するとは全く考えてもいませんでした。

日本の郊外の街でこのトラブルが発生した場合、解決まで数日はかかってしまうと思います。
「R8000系アルテグラのチェーンリングの在庫ありますか?すぐに修理できますか?」
と聞いて10分後に修理を終えてくれる自転車店を地方で見つけるのはかなり難しいはずです。

運良くランブイエに品揃えの良い自転車店があったとも言えますが、問題解決のために多くの人たちが親身に考えてくださったことが、この奇跡のような短時間でのリカバリーを実現させてくれたと思います。

今回のPBPはソロの旅のつもりでしたが、実際には多くの人とつながっていることをこれほど実感したことはありません。

ランブイエのお店に行ってチェーンリングの在庫を抑えてくださったTony Tさん(@GTraveller)を始め、すきやさん(@mousou_engine)、クマさん(@BP5CRUNNER)、トルメキアの猫使いさん(@ZombieweeklyJP)、Eibbonちゃん(@eibbon59)など、ブルベクラスタの皆さんには非常に感謝しております。改めて、本当にありがとうございました。

また、いいねやRTをしてくれた方々が情報を広めてくれたことも早期の解決に繋がったと思います。
異国の地で呆然となっていた時に多くの方から助けていただき、本当にありがたかったです。心から感謝しております。

ということで、日本人の繋がりのおかげでなんとか万全の状態でスタートできそうです。

ホテルに戻ってフレームバッヂを装着。

(スタート編へ)

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