ブレストまで何マイル?
ブルベ中心のロードバイクの走行記など

PBP2023 #2 事前受付とトラブル編

9月 6th 2023 in ブルベ

トラブル発覚

ホテルのチェックインは14時からですが、12時頃に到着したところ部屋の準備ができているとのことで運良くチェックインできました。早速ロードバイクを組み立てます。


Campanile Saint-Quentin-en-Yvelines

試しに乗ってみるとチェーンがアウターに入らない。あれ、おかしいな?と思ってよく見たところ・・・


破損したチェーンリング

なんと、アウターのチェーンリングが大きく歪んでおり、内側は酷く割れている状態でした。チェーンリングが歪んでいるためクランクが半回転もするとチェーンが脱落してしまいます。

飛行機輪行中に破損したようですが、プラスチックダンボールの輪行箱には傷はなく、外部から非常に強い力がゆっくりと加わったようでした。自転車の積載が多かったので、輪行箱を積み上げるような形で飛行機に載せられたのかもしれません。

アウターは使用不可能ですがインナーは使えたので、どうにか自走できる状態だったのは不幸中の幸いでした。気を取り直して、まずはランブイエの前日受付に行くことに。なかなか前途多難です。

事前受付


ランブイエ駅の様子

サン=カンタン=アン=イブリーヌ駅からN線でランブイエ駅へ移動。駅はランドヌールでいっぱいです。皆、同じ受付に向かっているので、ついて行くと到着。


Bergerie nationale de Rambouillet
2019年にも来た懐かしい受付場所です。左の建物で事前に購入したジャージ、ジレ、フレームバッジやリストバンドなどを受け取って受付完了。


受付の様子
受付に行く時刻はエントリー時に申請しているのですが受付時刻をチェックしている様子は全くなく、単にフレームナンバーをみて袋を取りに行くだけの運用でした。受付時間の指定は混雑を避けるためのもので、実際には何時に取りに行っても問題ないようです。2019年も同じでした。


(わかりにくいですが)右側の建物から続く列

もう一つの建物では、ジャージのサイズ変更や追加ジャージ購入、それにポスターやTシャツの販売が行われていました。長蛇の列でしたが、時間に余裕があったのでのんびり並んでポスターやTシャツをゲット。段ボール箱に入れてくれたので、ポスターを折ったりすることなく日本に持ち帰ることができました。


見取り図

受付の地図はこんな感じ。左側の「Check-In」が事前受付の建物、右側の「pointage carnet」が当日の車検場所、右上の赤い「Arrivee/Finish」がスタート&ゴールゲートです。
2019年は事前受付の際に車検を行う形でしたが、2023年は当日のスタート前に車検を行う流れとなり場所も変更されていました。

トラブルリカバリー

さて、受付は終わったもののアウターは完全に使用不能な状態です。
このような壊れ方は初めてで、チェーンリング以外にどこまでのダメージがあるのか見当がつかない。他の箇所にもダメージがあるのなら、1200kmも走れないかもしれません。

あまりにも酷い壊れ方なので問題に向き合う気持ちになれず、呆然としてしまっていました。茫然自失というやつです。

上の空でチェーンリング破損についてツイートしていたのですが、ブルベクラスタの方々が次々と反応してくださり、現地の自転車店の情報を教えてくださったり、ショップにパーツの在庫がないかを聞いてくださったりと皆で助けてくれました。

ダメージの全容が不明なので一軒目ですべてが解決するかどうかはわかりませんが、まずはプロショップで診てもらう必要があります。教えていただいたランブイエの自転車店、Culture Vélo Rambouilletに向かいます。


Culture Vélo Rambouillet


修理の様子

ショップに持ち込んで状況を説明。酷く歪んだチェーンリングを見て驚いた様子ですが、すぐにパーツ交換を行ってくれました。

幸いアルテグラのチェーンリングの店頭在庫があり、手際良く作業してくれて10分程度で交換完了。念のためインナー側も交換しました。2枚のチェーンリング交換とディレイラー調整をお願いしましたが、明細を見るとパーツ代のみで工賃は請求されていないようです。対応も良く、とても良心的なお店でした。



店内の様子

このCulture Vélo Rambouilletではコンポーネントなどのパーツやタイヤ、工具、自転車本体やウェアに至るまであらゆるロードバイク用品が揃っているお店で、東京都内で例えるならワイズロードの旗艦店やなるしまフレンドに相当するような規模でした。
大げさに言えば、どのような忘れ物をしていても、どのような壊れ方をしていたとしても、このお店にたどり着くことができればPBPに出走できる状態にできそうです。

最悪の場合、修理してくれるお店を探してパリの自転車店を何軒も周り続けることを覚悟していましたが、スタート地点近くの自転車店で解決することができてしまいました。最悪のトラブルでしたが、最良最短のリカバリーができたと思います。


無事に交換されたチェーンリング。


復活ッッ!!

懸念されたその他の部分のダメージはなし。トラブルは予想外でしたが、Twitterの皆さんに実際にこんな風に助けていただけるとは全く想像していませんでした。ただただ、感謝です。

謝辞

チェーンリングが割れてアウター使用不能という酷いトラブルに気づいたのが8月18日の13:40。

多くの人にサポートしてもらい、ランブイエの自転車店で修理が完了したのが8月18日の16:55でした。
https://twitter.com/sakaki041/status/1692550726206066833

トラブル発覚から3時間で修理が完了したことになります。パリ・モンパルナスから50km以上離れた片田舎の小さな街でこのトラブルが短時間で解決するとは全く考えてもいませんでした。

日本の郊外の街でこのトラブルが発生した場合、解決まで数日はかかってしまうと思います。
「R8000系アルテグラのチェーンリングの在庫ありますか?すぐに修理できますか?」
と聞いて10分後に修理を終えてくれる自転車店を地方で見つけるのはかなり難しいはずです。

運良くランブイエに品揃えの良い自転車店があったとも言えますが、問題解決のために多くの人たちが親身に考えてくださったことが、この奇跡のような短時間でのリカバリーを実現させてくれたと思います。

今回のPBPはソロの旅のつもりでしたが、実際には多くの人とつながっていることをこれほど実感したことはありません。

ランブイエのお店に行ってチェーンリングの在庫を抑えてくださったTony Tさん(@GTraveller)を始め、すきやさん(@mousou_engine)、クマさん(@BP5CRUNNER)、トルメキアの猫使いさん(@ZombieweeklyJP)、Eibbonちゃん(@eibbon59)など、ブルベクラスタの皆さんには非常に感謝しております。改めて、本当にありがとうございました。

また、いいねやRTをしてくれた方々が情報を広めてくれたことも早期の解決に繋がったと思います。
異国の地で呆然となっていた時に多くの方から助けていただき、本当にありがたかったです。心から感謝しております。

ということで、日本人の繋がりのおかげでなんとか万全の状態でスタートできそうです。


ホテルに戻ってフレームバッヂを装着。

(スタート編へ)


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はじめに
2023年は4年に1度のParis Brest Parisの年。
PBP用にクロモリフレームのバイクを新調したものの、2019年のPBPはDNFという結果に終わってしまったため、次は雪辱を果たしたいと期していました。幸い、新型コロナウイルスの影響を受けずに予定通り2023年にPBPが開催される運びとなったので、今回もエントリーしました。
2015年、2019年に続いて3回目のPBP参加です。

フランスへ

出発。

今回も追加料金なく航空機に預けられる三辺合計203cm以内の輪行箱を使いたかったのですが、いざバイクを分解しようとしたところシートポストが固着しており、バイクショップに相談したところ破損リスクを伴う作業が必要とのこと。仕方なく、少し大きめのQBICLEバイクポーターSTDを急遽購入して使用しました。
飛行機積載料金は往復3万円ほどでした。

今回は00:05発の便を使いましたが、深夜に出発して朝に到着するので機内で眠ると時差ボケにならないのでとても良かったです。

機内食でいきなりパリブレスト。嬉しい心遣い。

旅費
トランジットでのロストバゲージを避けるため、2019年と同じくエールフランスの直行便を選択。2019年の際の往復航空券は17万円でしたが今回は約32万円と大幅に値上がりしていました。
前回に比べてかなり円安が進んでいる(2019年8月のユーロ円は118円、今回は158円)の上、ウクライナ戦争の影響でロシア上空を迂回していることが原因だと思われます。

ロシアを迂回する航路でフランスへ

追加の観光費用を含まないPBP関連の旅費は前回の約30万から約50万と大幅に増えてしまいました。
次回行く際には円安・ロシア情勢が改善していてほしいものです。

到着〜移動

シャルル・ド・ゴール国際空港ターミナル2Eに到着。Oversized Baggageエリアに輪行箱がでてきました。同じバイクポーターの箱が4つも出てくるなど明らかにPBP参加者が多かった。
今回のPBP日本人参加者は364人とそれなりの人数であり、移動日付近のフライトには自転車積載依頼が殺到していたようです。別のANA便では40箱もあったとか。同じ箱も多いのでステッカーなどで取り違えを防止する必要がありそうです。事前に申告しておくことも必須だと言えます。

この日はOpera座近くに宿を取ってロワシーバスで移動。シャルル・ド・ゴール国際空港のRER駅は出口から遠く移動が大変ですがバス乗り場は近くて楽でした。大きめの輪行箱の積載も問題なし。

いきなりパリの中心に出られるのでとても便利です。

この日はホテルに荷物を預けてパリを観光し、翌日ホテルからuberでモンパルナス駅に向かい、サン=カンタン=アン=イブリーヌのホテルに移動しました。

毎回、シャルル・ド・ゴール国際空港からサン=カンタン=アン=イブリーヌへの移動手段に悩むのですが、この移動経路はパリ観光を挟むパターンとしてはアリなのではないかと思いました。

パリの地下鉄駅には基本的にエレベーターとエスカレーターがなく、輪行箱を持って電車を乗り継いでいくことは困難です。ターミナル駅であるモンパルナス駅からN線でサン=カンタン=アン=イブリーヌやランブイエに移動することができるため、シャルル・ド・ゴール国際空港からモンパルナス駅への直通バス(Le Bus Direct)が有用だったようなのですが、2020年に廃止されてしまいました。

現在、輪行箱を持ってシャルル・ド・ゴール国際空港からPBPスタート地点付近に移動する選択肢は以下だと思います。

選択肢1:CDG→配車サービスでサン=カンタンやランブイエに直行(200ユーロ程度)
選択肢2:CDG→配車サービスでモンパルナス駅→N線で移動(100ユーロ程度)
選択肢3:CDG→ロワシーバスでオペラ座→配車サービスでモンパルナス駅→N線で移動(80ユーロ程度)
選択肢4:CDG→RER B線でダンフェール・ロシュロー駅→徒歩or地下鉄でモンパルナス駅→N線で移動(20ユーロ程度)

2019年は選択肢(4)で移動しましたが、エスカレーターのない駅で輪行箱を持って移動することは極めて困難です。当時は肩紐のある袋に輪行箱を入れていたのでなんとか移動できましたが、二度とやりたくないと思うほどつらかったです。また、大きめの輪行箱だったので今回は不可能でした。

少々割高ですが、選択肢(1)が無難だと思います。輪行箱にキャスターがあり駅近のホテルを確保できているなら選択肢(2)も良いかもしれません。なお、配車サービスはuberがスタンダードのようでした。

モンパルナス駅にはエスカレーターがあり安心

大規模駅・モンパルナス。

サン=カンタン=アン=イブリーヌに到着

前々回、前回に続いてホテルはサン=カンタン・アン・イブリーヌに確保しました。サン=カンタン・アン・イブリーヌはランブイエまで一本で出られること、日本のドロップバッグ業者のバッグ受け渡しポイントでもあるので手間が省けるという利点があり、駅前のショッピングモールが巨大でなんでもそろうのでとても便利な街です。
今回のホテルは駅近のCampanile Saint-Quentin-en-Yvelinesを選びました。移動にストレスなくとても良かったです。

ホテルに到着

ある意味ではPBP最大の懸念である現地ホテルへの移動が完了しました。あとは、準備して走り始めるのみです。

(事前受付とトラブル編へ)

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ドロップバッグ預入〜スタートまで
飛行機輪行による機材の破損というトラブルを多くの人の支援でどうにか乗り越えることができ、いよいよスタート当日になりました。
まずは所定の場所でドロップバッグを預けます。

ドロップバッグの預かり時刻に合わせて動き出す日本人たち。

ドロップバッグ回収

2019年に滞在先として利用したホテル、「Best Western Paris Saint Quentin」が今回のドロップバッグの預かり場所でした。この影響でサン=カンタン=アン=イヴリーヌの周辺は日本人だらけ。この街にいると、まるで日本のブルベに出るかのような錯覚を覚えます。

思い出のベロドローム

この場所は2015年のスタート場所だったベロドロームの近くなので、つい寄り道して記念撮影。このベロドロームはついお参りしたくなるPBPの神社のような場所だと言えます。今回は無事に完走させてくださいね、とお祈り。

サン=カンタン=アン=イヴリーヌ駅からランブイエ駅までは乗車時間30分ほどで行くことができます。電車は1時間に1本程度しかないようですが、自分の出走時刻は18:45なのでホテルを15時に出れば余裕を持ってスタート地点に着けるはず。

午前中にドロップバッグを預けた後、ナイトライドに備えて直前まで仮眠とろうと考えていましたが、なかなか眠れずに14:30になってしまったので買っておいたパンなどを食べて早々に出発。

Transilien N線の電車内は大混雑。

「自転車の乗客が多すぎて乗れない可能性もある」という噂もあり不安もありましたが、どうにか乗車に成功。車両によって混雑率が大きく異なっていたようでした。先頭車両寄りはかなり空いていましたが中央あたりはかなり混んでいて車両によっては乗るのが難しそうでした。
予定通り15:40頃にランブイエ駅に到着。

フランスにはPAULの店舗が多い

ランブイエの街は出走前のランドヌールで溢れています。スタート時刻まで時間があるので各々カフェで食事を取ったりと出走前の優雅なひとときを楽しんでいるようでした。
日本にも店舗のあるブーランジェリー「PAUL」で少し食べてカーボローディングしたり

第一回先進国首脳会議が行われたランブイエ城

お城を見てみたりとのんびりすごします。

オフィシャルジャージの冬版

防寒インナーを忘れてしまったので、スタート地点のテントで販売されていた長袖ジャージを買っておきました。

ランブイエの会場は広く、動き回るだけでかなり時間をつかいます。あっという間に時間が過ぎて、気づけば17時をすぎていました。出走時刻までは約2時間。出走前に食事を取っておきたいのでミールサービスに向かいます。

17:24 ミールサービスは長い列

17:31 前回より豪華になった気がする食事

ミールサービスには長い列ができておりかなり待たされました。急いで食べ終わると出走まで残り1時間を切っています。そろそろスタート待機列に並ばないといけない。

出走ウェーブの組ごとに列ができているようですが、自分の組であるLの列の最後尾がどこにあるのかわかりづらく、しばらく探して周ります。

17:55 芝生の中に伸びるスタート待機列

L組の列をようやく見つけて並び始めました。まだ車検が終わっていないので不安でしたが、列の途中で車検があるとの噂を聞いて一安心。スタート待機列と車検の列が統合されている案内がなかったのでわかりづらかった。

車検自体は待機列の途中で数名が装備を流し見する程度のもので、前回までのしっかりしたチェックに比べてとても簡素なものでした。スタート時刻が迫っているのになかなか列が進まないので、途中からチェックを省略していたのかもしれません。

18:21 車検後の出走スタンプ

ブルベカードに一つめのスタンプを押してもらい、いよいよスタートです。

18:30 スタート待機列

列が整ってくると、どうやら18:45スタートL組のほぼ最後尾だということがわかりました。
スタートから2時間前から食事の列に並び、1時間前にスタート待機列に並び始めましたが、ウェーブの先頭寄りに陣取るのであれば、もう少し早く動き始めたほうが良さそうです。駅には早めに着いていたのに少々のんびりしすぎたようです。

18:45 スタート!

トラブルはありましたがすべての手続きを終えてようやくスタート。1200kmの旅が始まりました。

スタート〜Mortagne-au-Percheまで(〜119.0km)
毎回PBPのスタート直後は皆盛り上がってスピードを出しすぎている印象があったので、今回は周囲に流されずにマイペースで走ろうと決めていました。様子を見ながら走っていたのですが、ウェーブの最後尾付近だったこともあってか、周りのスピードが思っていたほど速くないようです。

心拍数があがっていないことを確認しながら多少スピードアップし、無理なく乗れるトレインについていきました。

20:33 スタートから約二時間後。徐々に前後のウェーブが混ざり始める

21:16 Châteauneuf-en-Thymeraisの私設エイド

最初のWelcome PointのMortagne-au-Perche(モルターニュ=オー=ペルシュ)はスタートから120km先。ちょうど中間となる60km地点の街、Châteauneuf-en-Thymerais(シャトーヌフ=アン=ティムレ)は小休止にちょうど良い場所です。2015年、2019年はこの街のスポーツバーで休憩しましたが、今回は経路が少し変わってしまいスポーツバーの前を通らないコースになっていました。
その代わりか、公園の前に私設エイドが設置されていたのでオランジーナを飲んで少し休憩。ありがたいことにこの裏の公園内にトイレもありました。休憩していると、現地に住んでいると思われる日本人の方から話しかけられてちょっと驚きました。

この区間は24.9km/hで60kmを走破できており、今回の最速区間でした。とても順調です。

21:30 ランタン・ルージュが美しい

フランスは緯度が高く、この時期暗くなるのは21時すぎです。この時間を過ぎると初日のナイトライドに突入。序盤の区間は比較的平坦なこともあり、大規模なトレインにも助けられてモルターニュ=オー=ペルシュまでの60kmも負荷なくハイペースで進むことができました。

23:43 モルターニュ=オー=ペルシュ

119km地点のモルターニュ=オー=ペルシュには23:43に到着。約5時間で119kmを走破できているので悪くないペースです。予定より2時間以上早い到着でした。

サンドイッチなど軽食販売

次のPCでの仮眠時間確保のためここは早く出たいところ。
時間の取られる食堂には入らずに、お手洗い、水補給、サンドイッチ購入だけ済ませ、25分の停止時間で0時過ぎにリスタートしました。

ここまでは非常に順調に進行できています。しかし、PBPの難所はここからだと考えていました。

(続く)

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