ブレストまで何マイル?
ブルベ中心のロードバイクの走行記など

PBP2023 #7 走行編 Villaines-la-Juhelまで (〜1017.7km)

9月 18th 2023 in ブルベ

復路Loudéacでの仮眠

往路のLoudéac(ルデアック)ではドロップバッグの中身を取り出して整理したりと無駄な動きが多くタイムロスにつながりました。復路はあの失敗を繰り返さないようにしようと思っていたのですが、これまでの疲れが溜まっていてうまく頭が動きません。
復路でも荷物の入れ替えに手間取ってしまい、仮眠所で眠りについたのは到着から約1時間後でした。

Loudéacの仮眠所には体育館のような場所にコットが所狭しと敷き詰められていますが、受付時にマットレスを使うと答えると隣との間隔が少し広い場所を案内してもらえます。このマットレスは広く柔らかくそれなりに快適で、よく眠ることができました。

この日はドロップバッグに入れていたアルファ米のパックに水道水を入れて仮眠中に戻し、起床直後に食べることで食堂に立ち寄らないという時短作戦。水でちゃんと戻るのか不安でしたが2〜3時間でしっかり食べられる状態になっていました。尾西食品のアルファ米は想像以上に美味しく、お米のご飯の美味しさに癒やさます。次の機会があればまた利用しようと思います。

夜の仮眠もこれで三泊目。疲れ切っていたためこの時の記憶が曖昧なのですが、記録を見ると23時にLoudéacに入り、0時に仮眠所に行き、2時間半眠った後に食事をとり、午前3時頃に出発。合計4時間も滞在していました。

復路Loudéacでは4時間近く眠ることが理想だったのですが、足の故障によるペースダウンで貯金が稼げず、PCでは時間のロスが多く、結局この日もあまり眠ることができませんでした。

Quédillacまで(782.2km→842.3km)

PCクローズ時刻の2時を1時間も過ぎ、借金を背負った形でLoudéacを出発。

リスタート直後は仮眠をとった直後なので良いペースで走れることができました。懸念していた夜の寒さも問題なく、Loudéac出発時は17度、明け方の最低気温は14度でした。

しかし、Loudéacでの仮眠は快適でしたが絶対的な睡眠時間が不足しています。
初日1.5時間、2日目2時間、3日目2.5時間の睡眠時間だったので、ここまで3泊合計で6時間しか眠っていません。睡眠負債が溜まっている状態です。

少しずつ、しかし着実にマイクロスリープが波のように繰り返し繰り返し襲ってきます。


5:10 私設エイド

私設エイドがあったので夜明け前に少し休憩。

休憩や軽食で眠気が飛ぶということもなく、更に眠気は強くなっていきます。このままではマイクロスリープに襲われて何度も道端で眠ってしまい、次のPCに間に合わなくなるかもしれない。


6:30 842.3km地点 Quédillac

ここで賭けに出ることにします。
直前のLoudéacに宿泊したばかりですが、Quédillacの仮眠所でも眠って睡眠時間を確保することにしました。
道端で中途半端に眠るよりも、快適との噂のQuédillacの仮眠所でしっかり眠った方がこの後がスムーズに進めるはず。

6:30に到着し、仮眠所に直行して30分眠って7:10に出発しました。

Tinténiacまで(842.3km→867.3km)

この日二度目のQuédillacでの仮眠は計画していたものではなく、半ば衝動的な判断でした。

QuédillacからTinténiac(タンテニアック)まではわずか25km。PCクローズ時刻は8:30なので残り1時間20分で25kmを走らないとタイムアウトです。平均19km/hで進まないといけない計算になりました。

この日も右足が痛くまともに踏み込めない状態でしたが、仮眠中にポーチをあさってみたところ、ロキソニンが2錠だけ出てきました。

これを使ってみたところロキソニンの効き目はすさまじく、痛みは嘘のように消え失せました。
痛みがなければ、体力も足も残っているので全開走行することができます。ここぞとばかりに踏み込んで加速してTinténiacを目指します。Quédillacの仮眠所は噂通り快適で、眠気もすっかり失せていました。


8:21 867.3地点 PC9 Tinténiac

TinténiacにはPCクローズ10分前の8:20に到着。かなり危ないところでしたがロキソニン・パワーで危機を乗り越えました。今回の行程の中で最もタイムアウトに近づいた瞬間です。

Loudéacで1時間の借金を負いながら次のQuédillacでも仮眠を取るのはかなり無謀な賭けだったと言えますが、その後ペースを上げてどうにか帳尻を合わせることができた格好です。

Fougèresまで(867.3km→928.2km)

Tinténiacではカロリーの高いクロワッサンを多めに食べ、停止時間を30分程度に留めて9時頃にリスタート。タイムアウトギリギリで滑り込んだので、当然のことながら出発時は借金状態です。

Quédillacでの仮眠とロキソニンが効いてこの後はかなりペースアップ。普段のブルベペースに近いスピードに戻って快調に進んでいきます。眠気は、日が高くなると不思議と薄れていくものです。


8:49 残り距離表示


今回のオブジェの中でも白眉の出来



9:40 私設エイド。このオレンジが美味しかった。


11:22 PBP名物の教会。気温は24度に上昇


11:45 928.2km地点 PC10 Fougères

さくさく進んでFougères(フジェール)には11:45に到着。クローズ時刻は13:10なのでなんとか1時間以上の貯金をつくることができました。

ここではコントロールでのサインのみ行い10分で出発。FougèresにはPC近くのコース上にマクドナルドがあります。十分な貯金を作ってここで食事することは復路の目標の一つでした。


12:10 Fougèresのマクドナルド

正午にはマクドナルドに到着。まだ1時間の貯金があるので時間は問題なし。PCでの補給はフランスパンでハムを挟んだサンドイッチやクロワッサンやパスタばかりになりがちで、マクドナルドのような腹にたまる食事があまりありません。

店内に入るとばるさんに遭遇。元々、このFougèresのマクドナルドはばるさんの情報で知ることができたお店でした。
ばるさんとは同じスタートウェーブでペースも近かったのか行程中何度もお見かけしていたのですが、まさかPCでもないマクドナルドでお話することになるとは思いませんでした。


通常サイズのハンバーガー

念願のマクドナルドを食べることができて大満足。日本でよく食べるいつもの味です。ひとつ上の「マキシマムサイズ」という大きめサイズのものにすればよかったと軽く後悔。

12:45頃、マクドナルドを出発しました。

Villaines-la-Juhelまで(867.3km→1017.7km)

しっかり補給し眠気もなくなり元気いっぱいと言いたいところですが、2錠しかないロキソニンの効果が切れてまた足の痛みに悩まされることになります。

ロキソニンが効いていたFougères前は快調に走れていたのですが、また痛みで回せなくなり20km/h以下の速度でしか走れなくなっていました。


14:46 Gorronで痛み止め購入

更に痛みが増してきたらどうしよう。まだゴールまでは300kmもあるので不安が大きくなっていきます。

かなりつらかったので、途中Gorronのドラッグストアに転がり込んで痛み止めを購入しました。この街はちょうど良い補給ポイントとして毎回お世話になっています。

Google翻訳アプリを駆使して足の痛みを抑えたいと訴えると出てきたのがこの薬。よく見ると「イブプロフェン」と書いてあります。もうロキソニンはないのでこの薬に頼るしかありません。
薬が効くことを祈って、Gorronを出発します。


15:20 木陰で休憩

Loudéacより東側は気温が高く、この日も厳しい暑さに悩まされることになりました。湿度が低いので日本の夏よりは過ごしやすいのですが、この日の最高気温は34度ほど。強い日差しが参加者を襲います。簡単に氷が手に入るコンビニがないのが痛いところ。日陰を見つけて休憩・仮眠するランドヌールが目立ちました。


15:38 残り距離表示


17:05

この時間は足の痛みと日中の暑さに耐えながら、ゆっくりゆっくりと進みます。
ゴールまでの距離表示を作ってくれている人がいました。あと200km。あと「1ブルベ」です。

17:05には毎回立ち寄るLe Ribay(ル・リベ)の私設エイドまで戻ってきました。




17:05 Le Ribay(ル・リベ)の私設エイド

フランスでよく見る「bar des sports(スポーツバー)」という表記と電話番号があるので、おそらく現地の飲食店が運営しているエイドなのだと思います。

ここではガレット(ソーセージをクレープで巻いたもの)とオランジーナを頂きます。肉がうまい。ここでは20分ほど休憩しました。

この頃、再び眠気に襲われることになります。Gorronで購入した痛み止めはあまり効かず、足が痛むのでペダルを踏み込むことができません。陽気とスローペース走行が眠気を誘い、次第にふらふらとし始めました。

PC手前で強い眠気に襲われ、Villaines-la-Juhel(ヴィレンヌ=ラ=ジュエル)の5km手前の地点で、車道と歩道の段差に前輪を取られてついに落車。

右側にゆっくりと倒れると、落車の痛さよりも身体に触れる地面の暖かさがむしろ気持ちいい。このまま、倒れたまま眠ってしまいそうになりました。睡眠不足だったことがよくわかります。頭がぼんやりとしていている、夢うつつの状態です。

すぐに周囲のランドヌールが駆け寄ってバイクを起こしてくれたので、あわてて自分も起きあがってダメージがないことを伝えます。みんな優しい。ありがたい。

そうだった。ゴールまではあと200km。ここで倒れて寝るわけにはいかない。
ほとんどスピードは出ていなかったので、どうやら体とバイクにダメージはないようです。

なんとか持ち直して、再び走り出し、数キロ先のVillaines-la-Juhelに入っていきました。

(続く)


Comments are closed.

Brest到達

Brestにて。

Saint-Nicolas-du-Pélemでの仮眠後は走ったり寝たりの繰り返しでスローペースで進み、Brest到着時の貯金はわずかに1時間でした。ショートストップで再開したいところですが、到着直前に発生した右足の異常を考えるとしばらく休憩したほうが良さそうです。

10:06 コントロール

方向指示が「Brest」から「Paris」に変化

Brestの芝生は仮眠する人だらけ。

幸いなことに右足の痛みはペダルを回すときだけで、歩く際は痛みはほとんどありませんでした。手早くコントロールでのサインを済ませて食堂に向かいます。

10:40 食堂で大休憩

長めに休憩すればきっと足の痛みもおさまってくれるはず。
600km以降はPCクローズ時刻が緩和されるのでペースを落とすことができます。Brestのクローズ時刻には間に合った。残りの行程はイージーゲームのはず。時間をとって食事休憩をしても問題はないはずです。

ブレストへの到達はルデアック以上に達成感があります。この地にまた帰ってくることができてよかったという嬉しさもあり、緊張感が薄れてすこしぼーっとしていた気がします。

気がつくと到着から1時間以上が経過。出発しようとしたところ、トイレに列ができており更に時間がかかってしまいました。

11:30 出発。ちょっと名残惜しい。

結局Brestは11:30に出発。1時間半も停止していました。
右膝の故障。Carhaix-Plouguerまで(604.3km→697.1km)
Brest出発時点でPCクローズ時刻を30分オーバーしており足には異常があるまずい状態でしたが、「Brestまでたどり着ければあとはなんとかなる」という思いが強かったのか、どうも緊張感を持てません。
PCを出てもすぐにスーパーに入って補給食を買ったり、のんびり記念撮影をするなど時間にルーズになっていました。

12:02 プルガステル橋

Brestのプルガステル橋を見ると、ゴールしたかのような気持ちになるから不思議です。
右膝トラブルの状況
走り始めるとすぐに右足の異常が全く解消されていないことがわかります。

Brest到着前と変わらず、ビンディングペダルにクリートをはめるだけで右足の広範囲に激痛が走ります。右足をペダルに乗せずにぶらぶらさせながら走ったり、クリートをはめずにそっとペダルの上に足を置いて力を入れずに回したりといろいろと試行錯誤。
まだゴールまでは600kmも残っています。対処法が見つからず、痛みがおさまらないようならDNFも考えなければなりません。
原因
いろいろと試すと、どうやら右足に力を入れずに股関節を使って回すと痛みが出ないことがわかってきました。股関節を使って回すのはペダリングの基本ですが、今回はどうやら膝を使いすぎる回し方をしてしまっていたようです。序盤にトレインに乗ってオーバーペースで走っていたことが影響したのかもしれません。

おそらく今回の右膝トラブルの直接原因は、今回のPBPで初めて使用したアピデュラのトップチューブバッグだと思われます。トップチューブバッグに右膝が当たるので無意識的に右膝を外に広げた歪んだペダリングをしてしまったようでした。膝に当たるのが嫌でこれまでトップチューブバッグはほとんど使ったことがないのですが、今回はカメラや補給食を余分に入れる容量が欲しくて渡航直前に購入したのです。
この普段使っていない装備をテストなしでいきなり実戦投入してしまったことが裏目に出たようです。

歪んだペダリングの結果、腸脛靱帯炎(いわゆるランナー膝)を発症していたのが600km地点での状況でした。
対処
痛みは引くことなく継続していますが、走りながら試行錯誤した結果、なんとなく原因と対処法が見えてきました。

登りの時は膝周りの筋肉を使わず股関節で回す癖がついているので、登りの区間になると痛みがなく普通に回すことができるようです。平坦区間になると膝周りの筋肉を使っているようですぐに痛みが出ることがわかりました。

となれば、登りのほうがありがたい。他の参加者はBrest以降のアップダウンがつらいと言われていましたが、登りのつらさよりも平坦区間の足の痛さの方がはるかにつらい状況です。少しでも平坦区間があると痛みが出て足を止めたりしていました。

「はやく登り区間にならないかなあ」
「この後の区間が全部登りならいいのに・・・」

というようなことばかりを考え、右足の痛みがでないように股関節を使うことに意識を集中していたので、Brest以降はどんなコースだったのか、どのくらいアップダウンがあったのかよく覚えていません。

この時は、とにかく膝をかばいながら前に進むことに必死になっていました。
Carhaix-Plouguerへ

15:03 突然現れたコントロールの表示

足のことばかりを考えながら走っていたら突然コントロールが出現。

15:07 658.3km地点 シークレットコントロール Playben

今回はPlayben(プレバン)という街にシークレットコントロールがありました。2015年・2019年のシークレットはすべてWelcome Pointとしてキューシートに記載されていましたが、2023年は往路・復路共に予告なしのシークレットがありました。過去の大会で不正行為があったのかもしれません。

15:14 Playbenで小休止

思いがけず現れたシークレットで小休止してすぐにリスタート。

足の痛みを抱えながらだましだまし進んだため、BrestからPlaybenまでの52kmは3時間半もかかってしまいました。ほぼ15km/hペースです。実際、この区間は最高速度20km/hも出せないようなコンディションでした。

17:29 697.1km地点 PC7 Carhaix-Plouguer

Carhaix-Plouguerには17時半に到着できました。
この頃には痛む足との付き合い方がわかってきて少しずつペースがあがり、18km/h前後で走行できるようになっていました。
Loudéacまで (697.1km→782.2km)
PC7到着時点でどうにか1時間ほどの貯金が作れていますが、この日の睡眠時間を稼ぐために先を急ぎたいところ。32分ほどの停止時間で足早にリスタート。

19:53 731.6km地点 WP Gouarec

Carhaix-Plouguerにボトルを置き忘れてしまい、代わりのものをGouarec(グアレック)で購入。店頭には置いてなかったのですが、話すと奥から取り出してくれました。

Gouarecの食堂

Gouarecでは30分程度休憩。

この時、20時半でも気温は21度あり暑くもなく寒くもない状況でした。この日の最高気温は33度。日本の猛暑に比べれば遥かにすごしやすい環境だったと言えます。

21:48 突然現れるゲート

まるでコントロールのような私設エイド

1時間ほどのろのろと走行していると、PCのようなゲートが現れました。

「このパターンは初めてだ」

というばるさんの声が前方から聞こえます。またシークレットかと思いましたが、大規模な私設エイドでした。

この後もスローペースで走り、23:07に782.2km地点のPC8 Loudéac(ルデアック)に到着。

事前の計画ではこの日は次のQuédillac(ケディアック)まで進んで宿泊する予定だったのですが、足の調子が悪いのでここで眠ることにします。もう少し早く到着して睡眠時間を確保したかったのですが、PCクローズ時刻まで約3時間あるのでなんとか仮眠はとれそうです。

(続く)

Previous Entry

Villaines-la-Juhelにて

18:26 1017.7km地点 PC11 Villaines-la-Juhel

18:26にVillaines-la-Juhelに到着。
この街は夜も昼も応援の人がとても多く勇気づけられます。街も美しく、個人的には一番好きなPCです。
PC直前に眠気に襲われて落車してしまうなど、到着時はかなり頭がぼんやりしていました。

コントロール

コントロールでサインをもらい、芝生に座り込んで落車のダメージを確認。右小指・右膝・右肘に小さな擦過傷があり、レッグカバーはやぶれてしまいましたが、傷自体はたいしたことはなさそうです。キズパワーパッドを貼り、予備のレッグカバーに交換して処置完了。念のため持っていたキズパワーパッドが役立ちました。

この右あたりでマイクを持ったDJがインタビューしていました。

休憩していると少し頭がはっきりしてきました。軽く補給してボトルに水を入れて自転車にまたがり、リスタート前に写真を撮っていたところ、マイクを持った会場DJ(?)から突然名前を呼ばれました。

「〇〇(名前)さんですね。フランス語で話せる?」
「できません」

いくつかの大きめのPCにはステージがあり、イベントやミニライブをやっています。
このPCではマイクを持ったDJがノリの良いトークをしていました。モータースポーツのサーキットのような雰囲気です。どうやらゼッケンナンバーで名前を調べて参加者に話しかけているようでした。

聞かれるままにPBPは3回目であることなど英語で話したところ、

「◯◯さんは日本からの参加者でPBPは3回目!この先もがんばってください◯◯さんー!!!」

というようなマイクでの紹介トークをしてもらえました。(フランス語なので内容は想像)

PC内に大音量で自分の名前が連呼されるのはちょっと恥ずかしいですが、良い思い出になりました。この後、日本人の方から「PCで名前呼ばれてましたねー」と言われたりしました。

このPCは40分ほどの停止時間でリスタート。
Mortagne-au-Percheまで(〜1099.0km)
Villaines-la-Juhelは19:10に出発。なんとか眠気も収まりました。足の痛みがあるので速度は出せないですが、Villaines-la-Juhel以東は起伏がゆるやかになることもあり堅調に進みます。

そしてPBP最後の夜がやってきます。

22:11 私設エイドで水補給

23:05 応援ボード

日が暮れた後、収まっていた眠気がまた襲ってきます。時折、道端の芝生に寝転んで数分間眠ったりしていました。落車する前に自ら止まらないといけない。

どうにか走り切って、23:46にMortagne-au-Perche(モルターニュ=オー=ペルシュ)に到着。

23:46 1099.0km地点 PC12 Mortagne-au-Perche

相変わらずスローペースでの走行でしたが、600km以降の制限時間緩和のおかげでなんとか3時間の貯金ができています。これならなんとか睡眠時間が取れる。すぐに仮眠所に行きます。

ここの仮眠所はマットレスが薄くペラペラで、隣の人との距離が近くいびきが気になるような場所でした。PBPで見た仮眠所の中ではかなり劣悪な環境だと言えます。スペースはかなり余っていたので参加者を一箇所に集めなければもっとゆとりがあったと思うのですが・・・。次回は耳栓を忘れずに持っていこうと思います。

お世辞にも快適な仮眠所とは言い難い場所でしたが、とても疲れていたのであっさり入眠でき、2時間ほど眠りました。

2:08 食堂

起きてすぐに食堂に行きます。モルターニュといえばこのパスタという印象。特別に美味しいわけでもないのですが、1000km走って疲れた身体にはこの食事が染み込むように入っていきます。

食堂で眠るランドヌール

なんとか最後の仮眠を終えて、PCクローズ時刻の3時ちょうどにモルターニュを出発しました。
Dreuxまで(〜1176.9km)
PCを出て走り始めると「むわっ」とした温かい空気を感じます。気温を見るとなんと22度。湿度も高くまるで日本のようです。防寒装備は全く必要ない温度でした。

しっかり眠り補給したので回復できており、心配していた雨もなく気温も良好。
ゴールまでは残りわずか120km。トラブルなくまともに走ることができればゴールできるはずです。

7:09 PBP最後の朝

最後の朝焼けが美しい。今回のPBPは天気に恵まれて快晴が続き、このような雲が出てきたのは最終日くらいでした。

仮眠直後はペースを取り戻して走ることができていますが、結局一度も長時間の睡眠を取ることができなかったので「睡眠負債」とでも呼ぶべきものが蓄積しています。
なんとか走れているものの、気を抜くとまた眠気に支配されてしまいそう。カフェイン錠剤を使用したり補給食を口に入れたりして眠気を凌いでいました。

次のPCまで30〜40kmというあたりに差し掛かった頃、日本人の方を見かけてお話していたところ、一緒に走る流れになりました。
ここで出会ったshuheiさんのペースは速く、未だ足の痛む自分がついていけるのか自信がなかったのですが、不思議と速度を上げても痛みが現れません。一人で走るよりも明らかに話しながら走る方がペースが良い。会話していると眠気も収まりました。地獄に仏とはこのことです。

shuheiさんのおかげでペースアップして、あっという間にDreux(ドルー)に到着。

7:48 1176.9km地点 PC13 Dreux

8:07 最後の補給

残り距離はわずか44kmですが、念のため少し多めに最後の補給を取りました。Dreuxも40分ほどの停止時間でリスタート。
ゴール:Rambouilletまで(〜1220km)

8:51

この後もshuheiさんと共に走ることに。疲れ切った最後の区間に共に走る人がいるのは非常にありがたい。会話をしながら楽しく進みます。

この頃、エアロポジションの姿勢にすると足の痛みが出づらいことに気づきました。DHバーは付けていないのですが腕をハンドルバーの上に置いて、あたかもDHバーを握っているような姿勢にしてみると痛みなくスピードも出せてとても楽。
今回のPBPからDHバーが解禁され多くの人が使用していましたが、信号なくずっと走り続けるPBPとの相性はかなり良い気がしました。

9:13 ようやく現れる平坦区間

Dreux以東のコースは平坦基調。時折、Villaines-la-Juhel以西には見られなかったようなフラットな景色が現れます。

「こういう景色はVillaines-la-Juhelより先にはなかったですよねー」

とshuheiさんと話しながらリラックスして進みます。

いつしか周囲を走るランドヌールの表情も緩み、にこやかに談笑しながら走る人が目立ちます。残り距離と時間を考えればもう大丈夫。皆そう思っているのでしょう。

そして・・・

10:48 ゴール!

そして、ついにゴールすることができました。
2015年の設備は簡素でくぐるゴールゲートもなく、直前に雨が降っていた影響で応援の人もほとんどいないという寂しいゴールでしたが、今回は多くの応援の人達が見守る中、ガッツポーズしながらこのゲートをくぐることができました。

最後まで眠気が残り足取りも重かったですが、一緒に走ってくれた方のおかげで余裕を持って完走することができました。最後の区間を共に走ったshuheiさんとはゴールのタイミングではぐれてしまい、その後お話できなかったのは残念です。

10:57 完走サイン

完走メダル

タイムは87:58。無事に時間内に完走してメダルをもらうことができました。

前回の2019年はDNF、前々回の2015年は一部PCの到着が大幅に時間超過しての完走でした。3回目にして初めてすべてのPCを制限時間内に通過して完走することができました。
2019年のDNFはショックが大きく、しばらくは思い返したくもないほどでしたが、ようやく前回のリベンジを果たすことができました。感無量です。

最後のDreuxからゴールの間で一瞬雨が降ったものの、基本的にはずっと晴天で一度も雨装備を使うことはありませんでした。ゴール後30分ほどすると初めてまともに雨が降り始めたので、運良く雨を回避することができたようです。

例年のような寒さもなく、天候と運に恵まれたPBPでした。

完走後。

記録としての走行編はここまでです。次回以降は、今回のPBPでうまくいったことや問題点、三度のPBP出走経験を踏まえたPBPの攻略法などをまとめてみようと思います。

(振り返りへ)

※参考:PBPゴールゲートの様子(はまいぬさんの動画)
https://twitter.com/hamainu0/status/1694646926690443480

Next Entry

にほんブログ村 自転車ブログ ブルベへ
にほんブログ村 自転車ブログ ロングライドへ
にほんブログ村 自転車ブログ ロードバイクへ
にほんブログ村 自転車ブログへ PVアクセスランキング にほんブログ村