ブレストまで何マイル?
ブルベ中心のロードバイクの走行記など

BRM521興津600 敗因分析

5月 25th 2022 in ブルベ

はじめに

2022年のBRM521神奈川600km興津は中間地点の伊那でDNFという結果に終わりました。
興津600は2度完走している好きなコースであり、直前の準備や走り込みもできており、よほどのことがない限りは完走できると考えていたためショックでした。

今後のために敗因分析を書き残しておくことにします。

推移(前半):設楽まで

週間予報では降水確率は30〜40%でしたが徐々に悪化し、前日時点では静岡県内の降水確率は90%。それでも一時的な雨となるはずでした。しかし、結果的には雨はほぼやまず、スタートからDNFまでずっとレインジャケットを着たままの走行をする羽目になりました。
興津600は本来風光明媚なコースなのですが、豪雨の中で走る天竜川沿いはただただつらいだけ。耐えて進むのみです。

それでも200km地点の設楽まではアベレージ20km/hを維持できており、自分にしてはかなり順調に進むことが出来ていました。この時点での貯金は3時間半ありました。
(貯金=ブルベ基準15km/hと到着時間のギャップ)


ランチ休憩は「第三村」表記の天竜二俣駅横のセブンでした。

推移(後半):新野峠〜伊那でのDNFまで

最大の難所である1089mの新野峠も前回と同様のペースでクリアできたものの、その後はペースが落ちていき、最終的に仮眠地点の伊那には前回から2時間遅れで到着。
貯金は2時間以上残っていたものの、リスタートする気力が起きずにこの場所でDNFする結果となりました。

なぜDNFに至った?

では200km地点では3時間半あった貯金がなぜ2時間に減ったのか。また、仮眠場所到着時点で2時間という十分な余裕を持ちながらなぜDNFに至ったのか。その原因を整理してみます。

走行ログ比較

少しコースが異なりますが、2020年との比較をした表がこちら。

前回の走行ログとの比較からみた問題分析

  • 200km地点設楽までは前回比30分遅れだが、avg20k/hで到達できていた(問題なし)
  • 新野峠の登坂スピードは前回とほぼ同じ(問題なし)
  • 峠の下りから平坦区間にかけて、一気にペースダウンしている(ここが問題)

原因

  • 一日中続いた雨とヒルクライムでジャージ上下は汗でズブ濡れ状態。ヒルクライム中は体温が維持されており問題なかったものの、この状態で下り・平坦に突入して体が冷えてしまった(この時はかなり寒さを感じており、くしゃみを連発していた)
  • 雨が継続しているためレインジャケットを脱げず、一時的に雨が上がった瞬間はあったもののジャージを乾燥させることができなかった。
  • 下り・平坦区間に推移した時間は日没の時刻とほぼ一致するため、体温の低下と同時に気温も急激に低下していった。
  • 気温が低下する中、全身ズブ濡れ状態で体温とモチベーションが低下し、前回は止まらなかった地点で2回も停止するなど一気にペースダウンした。(2箇所の追加停止時間が合計32分)
  • ズブ濡れ状態で体が冷えた状態かつ、雨+夜で視界がほとんどない状態の走行はあまりにもつらく、仮眠明けに再開する気力を失った。

(今から思えば、上記と全く同じ推移でDNFしたブルベが過去に2度もありました)

解決策

  • 雨ブルベであることが確定した段階で替えのジャージ一式やソックスなどを持参し、ズブ濡れ状態で下り基調の区間に入り体温が冷えてきたことを自覚した日没の時点で、服を着替えるべきだった
  • もし服をドライに替えた段階からペースを取り戻すことができていたら、2時間半以上の貯金を持って仮眠地点に到達できた可能性がある。
  • 仮眠地点のすぐ近くにはコインランドリーもあった。濡れた服をコインランドリーに入れた上で仮眠をとり、乾いた服でリスタートすることができたなら、翌日に挽回出来た可能性が高い。

※個人的は400km以上のブルベで長時間の雨となった場合のDNF率がかなり高いため、雨が一日中続く予報に変わったことを確認した上で日没前にDNFを決断してもよかったところです。しかし、新野峠まではかなりのハイペースで走行できていたので今回はこの判断は難しかったと言えます。

再発防止策

「濡れた装備での長時間走行は無理。この状態をなるべく避ける」

  • 400以上で雨ブルベとなりそうな場合には、着替えフルセットをジップロックに入れて持参しておく
  • 全身ズブ濡れ状態で日没を向かえたり、平坦・下り基調になる場合には早期にドライ装備に着替えて体制を立て直す
  • 仮眠時に服を乾かせるよう、あらかじめコインランドリーの場所を抑えておく

終わりに

「この程度の雨なら多分なんとかなる」という見込みの甘さで雨対策を怠り、何度も雨でのDNFを経験しているにも関わらず同じ失敗に陥ってしまいました。
今後は雨を舐めず、走り切るための準備を徹底した上で、予定外の雨の場合には諦めて早期に撤退するといった判断ができるように、十分に事前の検討を行おうと思います。


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封切り初日にバルト9でシン・エヴァンゲリオン劇場版:||を観てきました。エヴァを知ってから早25年。なんと四半世紀も経ってしまいました。前作のQはあまりピンとこなかったけれど、これだけ長い付き合いの作品の最終章ですから義理として見に行かないわけにはいかないだろう、くらいの気持ちでした。

見終えた今、圧倒されています。初回を見た後ですぐに気持ちを文章に残すつもりでしたが早くも2回観てしまいました。

※以下ネタバレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 
■印象
これほど説明的で丁寧なエヴァは初めてでした。TVシリーズを含めた過去のすべてのエヴァンゲリオンという物語を完結させるという監督の強い意思を感じました。

TVシリーズと新劇場版はパラレルワールドであり、渚カヲルだけが複数の世界線のすべてを俯瞰しているということは以前から示唆されていました。今作ではシンジがすべての世界線を認識し、エヴァがなくても良い世界に再構築するというある意味では予想通りの結末でした。まどかマギカの結末が同じものだったので、先にやられてエヴァの終え方が難しくなったのではと感じていましたが、ほぼ同じ展開でした。(エヴァQからシンまで8年の間が開いているのは、まどマギと時間を空けたかったことも一つの理由なのでは、と感じます)

しかし、すべてのエヴァ世界とキャラクターへの愛に溢れた展開はエヴァファンを満足させる圧倒的なものでした。すべてのお話にケリを付け、全てのキャラクターにありがとうと言って周ったかのような丁寧なストーリーとエンディング。
映画を見終えたファンが満足しきってしまい、まるで皆がLCLに溶けたような満たされた感覚のまま無言となりました。
人類は補完されたのです。
■内容について
TV版のエヴァは、思春期の少年が自己と他者の違いに気づき、怯え、他者と異なる自己がいても良いのだと、少しだけ肯定するまでの悩みの物語でした。シンジの心象風景を比喩的に表現したものがエヴァンゲリオンという物語であり、心の有り様一つで「エヴァンゲリオン」は出現しない、異なる世界が作れるのだとシンジが気づくところで物語が終わりました。

しかし新劇場版では、シンジは序の時点からTVシリーズの時ほどは他者と自己の関係に悩んでいませんでした。彼は悩みながらも自己の決断に責任を持つ覚悟を持つ頼もしい少年でした。
そうなると、そもそもシンジの悪夢のメタファーであるエヴァンゲリオンという物語が存在する理由がありません。序・破・Qと進むにつれて、シンジもアスカもレイさえも心の有り様に悩んでいない状況であることがわかり、新劇場版は何の物語なのかがわからなくなってきました。
シン・エヴァではカヲルからシンジに対して「君はとっくに立ち直っていた」と語られるほど、シンジは自立していました。

シン・エヴァでは、誰よりも打ちひしがれているのがゲンドウであることが明確に描かれました。旧作は初めての他者を怖がっていたシンジの物語であり、新劇場版は唯一心を許した他者を失ったゲンドウの苦悩の物語だったのかもしれません。

新劇場版の宇多田ヒカルの歌詞はエヴァのものとしてはピンと来ないと感じることもあったのですが、ゲンドウのユイへの気持ちを歌ったものなのだと考えると納得です。

<Beautiful world>
もしも願い一つだけ叶うなら
君の側で眠らせて
どんな場所でもいいよ
Beautiful world 迷わず君だけを見つめている

<桜流し>
もし今の私を見れたなら
どう思うでしょう
あなた無しで生きてる私を

<One Last Kiss>
もう分かっているよ
この世の終わりでも
年をとっても
忘れられない人
■補足
トップをねらえ!を彷彿とさせるシーンが多かったことなど、Qを観た時の予想は案外当たっていたように思います。
(時間軸のズレ、白いプラグスーツを着た後ろ姿の二人が並ぶシーン、2つのマシンが無数の怪獣を蹴散らして宇宙の中心に突進するシーン、など裏宇宙のシーン全般)

「おかえりなさい」はなくとも、新弐と8号機でイナズマキックくらいはしてもよかったんじゃないかなあ。
■アスカについて
圧倒的な満足感と感動を覚えた今作ですが、唯一ラストシーンがシンジxマリだったことには強い違和感を感じました。

マリとシンジはラストシーン直前で自己紹介をする程度の薄い関係でしかありません。
庵野監督によればともすれば同じ物語になってしまうエヴァを壊す目的で新キャラクターのマリを投入したそうです。シンジがエヴァのない世界を作り歩んでいくためには、これまで関わりのあった女性(アスカ、レイ、ミサト)とではなく、新たな人と関係性を築いていかなければならない。その意味でのマリだったのだろうと思います。

ということはわかるものの、これまでのアスカとシンジの物語はどうなるんだともやもやした気持ちがありました。しかし、二度見てシンジがラストシーンでいわゆる「アルティメットまどか」のポジションになったことを理解し、最後の浜辺に横たわっていたアスカが旧劇場版のプラグスーツを着ていたことで納得しました。

裏宇宙のシーンで登場するキャラクターは、TVシリーズや新劇場版など、全ての世界線・パラレルワールドの記憶を統合した概念のようでしたので、あのシーンのアスカは惣流や式波など、全てのパターンの「アスカ」というキャラクターの思念を統合した存在だと考えられます。

TVシリーズ・新劇場版通してシンジにアプローチし続けていたアスカ。シンでは死装束に身を包んで最後にわざわざシンジに告白しにきたアスカ。あの浜辺のシーンは、それらのすべてのアスカに対して「好きだったよ」とシンジが言いに行く、すべてのアスカが救われた感動的なシーンでした。
ちなみに28歳バージョンだったので、エヴァの呪縛が解けていた状態だったのでしょう。

宇部新駅のプラットフォームではシンジとマリ、カヲルとレイがカップルとして登場する中、アスカは一人で左端に座っていました。新劇場版ではケンスケといるときも私は独りと言い続け、14年前に好きだった少年を忘れられないまま大人になっていたアスカですが、統合された世界ではどうなるのか。

シン・エヴァからは、エヴァを終えて現実に還りなさいという監督の強いメッセージを感じます。そのメッセージのためにはシンジはアスカではなく新キャラと歩まなければならなかった。
しかし、ラストシーンにケンスケがいなかったのは、多少アスカとファンを気遣ってくれたようにも感じました。
■最後に
今作はシンジ、アスカ、レイ、ミサト、ゲンドウなどの全てのキャラクターとファンに対して、そしてパンフレットの記述を読むとおそらくは演者に対しても、監督の強い優しさを感じる内容でした。全てのストーリーとキャラクターに対して、監督がありがとうと言っているような錯覚を覚えました。

ありがとう、庵野監督。
アスカ、シンジ、そしてすべてのエヴァンゲリオンにありがとう。

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はじめに
Covid19が落ち着いていたため、2022年度の上半期はブルベが予定通り開催されることが多く、順調に200km・300km・400kmを完走。しかし600kmは、5月の興津600を豪雨にてDNFし、6月のもてぎ600は晴天ながら37度という気温に阻まれて熱中症でリタイヤ。600kmブルベを二回連続でDNFしている状況でした。

夏のうちにSRを取るなら気温の低い北で走るしかない。ということで宗谷岬600への参加を決定、

宗谷岬600は風光明媚なことで定評があり、いつかは走ってみたいコースでもあります。SRが確定していれば北海道1300に挑戦しようと思っていましたが、まずはSRを確定させることが優先事項。難度の低い宗谷岬600は、2回連続DNFの悪い流れを断ち切るのに最適なはずです。

スタートまで

2014年の大雪600以来、8年ぶりに滝川へ。今回は手軽に飛行機輪行できるBike Fridayで参加しました。スーツケースを転がすだけなので何の苦労もなく運ぶことができます。

恒例の前夜祭はありませんでしたが、やはり滝川に来たら松尾ジンギスカンを食べないわけにはいきません。

一日目は雨の予報。最初からフルレイン装備の参加者が多かったです。

以前の豪雨のブルベでフロントバッグが浸水してしまったので今回はモンベルのフロントバッグレインカバーを装備。このカバーの効果は高く、長時間の雨にも関わらず中への浸水は免れました。

なんとなくつけてみたサドルバッグのエヴァ弐号機がワンポイント。

スタート〜PC2(172km)
一日中雨の予報でしたが、スタートから約1時間は雨が降らず軽快に走行。留萌あたりから雨走行となりました。小雨というよりは本降り。スタート直後はどんなブルベでもハイペースに進むものですが、今回もかなりハイスピードで、トレインとなって進みます。留萌までのスピードは25.8km/hでした。

9:14。58km地点の留萌。

この後、留萌→鬼鹿のペースが23.8km/h、鬼鹿→初山別が21.0km/h。強烈な向かい風と雨で徐々に足が削られてスピードが落ちていきます。関東であれば速いペースですが、信号の全くない北海道ではこれがほぼ実際の走行速度なので大したスピードではありません。

多くのランドヌールが苫前のくまさんの前で停止して写真をとっていました

雨は鬼鹿辺りであがり、この日は稚内あたりまではレインジャケットなしに走ることができました。午前中にずぶ濡れになったジャージを日中に乾かすことができたのはとてもラッキー。興津600の時のように濡れたまま日没を迎えて体を冷やしてしまうトラブルはどうにか避けられそうです。

少しだけ晴れ間が覗くと、オロロンライン本来の美しい景色をみせてくれます。

しかし、徐々に向かい風は強くなっていきます。まだ序盤なのに20km/h程度の速度しか出せない。PBPを思い出させる緩めのアップダウンの中、ゆっくりゆっくり進んでいきます。
初山別→天塩のスピードは20.1km/h。

PC2の天塩に到着したのは15:35でした。

https://twitter.com/sakaki041/status/1550731323928608773

PC2(172km)〜宗谷岬〜南稚内のホテル(303km)

天塩から北はコンビニも何もない区間です。この区間は特につらく全く進まない。無心にペダルを回すのみです。向かい風はどんどん強くなり、天塩→ノシャップ岬は18.5km/hしか出せていませんでした。
本来であれば美しいはずの景色も一面の曇天で、ひたすら空は灰色です。

16:18 サロベツ原野

16:22 オトンルイ風力発電所

17:41 稚内市突入

18:18 こうほねの家でトイレ休憩

このあたりから、似たようなペースの方を抜いたり抜かれたりの繰り返しになっていきました。自分と同じようなペースの人がいるのはなんとなく心強いものです。

そのうちに、ゆーさくさんと一緒に走ることに。会話しながら走ると時速2〜3kmほどペースが上がってびっくり。人と走るとメンタル的にとても楽なのでした。ゆーさくさん、その節はありがとうございました。助かりました。

コースを少し外れるがせっかくだから行ってみてはとゆーさくさんに促されて立ち寄ったノシャップ岬。達成感があります。行ってみてよかった。

https://twitter.com/sakaki041/status/1550798257592442881
PC3到着は20:01。到着時点での貯金は約3時間。
興津600での教訓を踏まえて、ここで汗でびしょ濡れになったインナーを予備のジオラインに着替えました。この判断は大正解。これで心身ともにかなりリフレッシュして進むことができました。
日没時のインナー交換はオーバーナイトなブルベでの毎回のルーティンにすると良さそうです。

PC3の35km先が宗谷岬ですが、PCを出てすぐに雨足が強くなり、稚内をすぎる頃には次第に豪雨へと変わっていきました。強い向かい風と非常に激しい雨。街灯もなく雨と暗闇で路面は全く見えません。

折返しのコースのため、南稚内のホテルで一時休憩してから宗谷岬に向かうことも頭にちらつきましたが、目指していた宗谷岬に一刻も早くたどり着きたいという思いが強く、休憩を挟むことなくそのまま岬に向かいました。
後で知ったことですが、宗谷岬に向かうことなく稚内でDNFした参加者がそれなりにいたらしく、ここで気持ちを切らさずに岬に向かったことが大きな分岐点となったようでした。

22:12 ついに宗谷岬到達。
ここは通過チェックのクイズがありましたが、クイズ内容を確認することさえ手間取るほどの激しい暴風雨でした。
どうにかクイズ内容を確認して折り返すと、ペダルを回さずともスピードが出るほどの強烈な追い風。あっという間に南稚内に戻ることができました。

23:48 ホテル奥田屋チェックイン。到着時点の貯金は3.5時間。

本来24時までのはずの温泉の延長利用や、自転車の部屋内持ち込みを特別に許可いただくなど非常に親切にしてもらい、まさに生き返りました。次に走る際も奥田屋さんを利用したいです。
ずぶ濡れの衣服の水分をバスタオルに吸い取らせシューズには新聞紙を詰めるなど、いろいろと作業してから寝たため、睡眠時間は2時間程度でした。

600でホテルを取るのは久しぶりですが、豪雨の場合には特に温泉とベッドのありがたみが身にしみます。
素晴らしい温泉と快適なお部屋で、ゆっくり休んで二日目に備えることができました。
次の日は雨はふらないはずです、が・・・。
(後編へ)

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