ブレストまで何マイル?
ブルベ中心のロードバイクの走行記など

イギリスの輪行とサイクリングロード事情

3月 3rd 2019 in bike

ロンドンを起点に200kmほど自転車で走ることができたので、英国の自転車事情をまとめてみます。

■鉄道への自転車の持ち込み

自転車でそのまま改札を通過して鉄道に乗せることができるという、夢のような環境です。

National Railには自転車マークのある改札があり、輪行袋に入れたりせずに自転車をそのまま駅構内・改札内に持ちこむことができます。一部の車両のドアに自転車マークがあり、この車両には自転車をとめるスペースがあるので、この車両を見つけて乗車すればOK。
なのですが、自転車マークのあるドアが見つからなかった際、やむなく一般の車両に自転車を持ち込み、ドア付近に停めておきましたが車掌からは何も言われませんでした。

日本での輪行事情に慣れていると自転車をそのまま駅構内・改札に持ち込むことに背徳感を感じますが、イギリスでは至極当たり前のことらしく、混雑した駅の中でも誰も注意を払っていませんでした。

Paddington駅のプラットフォームには巨大な自転車置き場がありました。自転車と共に電車に乗る文化なのだなあと感じます。


Oxford駅の改札。自転車マークが見えます。


自転車マーク付きの車両ですが、駐輪の設備はなし。皆、無造作に自転車を置いていました。


コンセントとWIFI付き。


Paddington駅のプラットフォームにある巨大な自転車置場。

■地下鉄への自転車の持ち込み

地下鉄への持ち込みは「平日の通勤時間に限り、折りたたんだ状態でないと持ち込み不可」、それ以外の時間や休日は持ち込み可、のようです。
折りたたんだ状態であれば、袋に入れていない状態でもOK。乗客も駅員も自転車に対して全く注意を払う気配がありません。ブロンプトンの国だけにフォールディングバイクを運ぶのは日常的なことなのでしょう。

余程混んでいるときでなければ、おそらくロードバイクの前後輪を外しただけの状態でも何も言われないと思います。

■サイクリングロード

ロンドン市内・郊外共に自転車専用道が整備されている道が非常に多かったです。テムズ川沿いには気持ちよく走れる自転車道が整備されており、通勤時にはすごい数のサイクリストが行き交っていました。

路面の状況は日本とほぼ同じくらいか、場所によっては多少荒れているという程度。グラベルのような場所は少なく、総じて走りやすいです。



ロンドンの自転車専用道



ロンドン中心部は、自転車道と車道が明確に分かれている道が多かったです。これはテムズ川沿い。


オフィス街の中もしっかり自転車道が確保されていました。


Oxfordの自転車道。


郊外。路面が多少荒れているところもありました。


バッキンガム宮殿前の通勤風景。全面蛍光色のジャケット着用者が多いです。

■決して煽られない

ロンドンから東西にそれぞれ100km走ってみましたが、都会でも山の中でも車に煽られるということは全くありませんでした。これは2015年にパリ市内とPBPで1200kmを走ったときと同じ印象です。

車が自転車を追い越すときは1m以上の間隔を開けて、対向車線にはみ出す形で安全に抜いていきます。安全に追い越すスペースがない場合は自転車のペースに合わせて徐行するという徹底ぶり。日本であれば減速もせずに通過していくような幅員があっても追い越さず、後ろについて走る様子に驚きました。渋滞ができてしまうので路肩に停止して車を先に行かせると、ハンドサインやクラクションで挨拶をしてくれる点にも感動。

日本とのドライバーのマナーの差は明らかです。免許取得時の講習や法令なども整備されているのかもしれません。

イギリスを走ると、日本の車は自転車がいることを意識し、気遣ってくれていないのだなあと気付かされます。さすがは紳士の国です。


かなり間隔を開けて追い越す車の様子。

■駐輪事情

幸い盗難に合うことはありませんでしたが、ロンドン市内の自転車の盗難は多そうです。

駐輪していた自転車の多くがU字ロックを使用しており、前輪を含めたいわゆる地球ロックにしているものがほとんどでした。前輪・後輪のみ無くなっているものも多く、車輪やパーツの単位で盗まれるようでした。

自転車店もとても多く、スポーツサイクルの需要が多いようなのでパーツの転売も容易なのでしょう。ロンドン市内では、ワイヤーロックでは不十分だと言えそうです。

ロンドンはサンタンデールのレンタサイクルのポイントがいたるところにあるので、市内ではこれを利用する方が良さそうです。


多くの自転車が前輪にワイヤーを通していました。KRYPTONITEのU字ロック利用率が極めて高く、並んでいる全ての自転車がKRYPTONITEでロックされていることも多かったです。
かなり盗難を警戒していることがわかります。


サンタンデールのレンタサイクル。アプリを入れておくと空き状況を確認できて便利。

■自転車用品の価格

Evans Cyclesの路面店、Rapha、ロンドンの有名店Condorなど自転車店を5店ほど回ってみましたが、イギリス製の製品でも日本から海外通販で購入する価格とほとんど差はありませんでした。良くて1割安いという程度。

ブロンプトンについては例外で、日本で26万するNine Street Editionが20万(1375ポンド)で販売されていました。英国に行ったらお土産にブロンプトンを買うのが良いと言えましょう。

ロンドン市内を走っている自転車は、ロードバイク8割・ブロンプトン2割という印象です。それ以外の自転車は1〜2台程度しか見かけませんでした。


Condorでブロンプトンの試乗車が割引販売されていました。899ポンド=約13.3万円。

■まとめ

どこにでもある自転車道、自転車を尊重してくれるドライバー、それに自転車で乗り付けてそのままシームレスに電車に乗ることができる電車事情。英国はサイクリストにとって天国のような環境でした。

自転車でプラットフォームに乗り付けてそのまま電車に乗り、降りてまた自転車で移動できるという環境は想像以上に快適です。英国サイクリング、おすすめです。


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2015年のPBPの推移と課題、それに対策をまとめてみます。

■完走者の王道パターン

PBP2015走行グラフ。横軸が距離、縦軸が制限時間に対してのマージン(貯金)です。
赤線が時間内完走者。青線はDNF&認定外完走者。

これを見ると、448km地点の往路ルデアックまでに貯金を5時間程度作り、往路ルデアックかその先のサン・ニコラで3〜5時間程度ストップして仮眠し、780kmの復路ルデアックまでに貯金を5時間に戻してここでまた仮眠。
あとは大休憩なしでいくか、1089kmのモンターニュ・オ・ペルシュで最後の仮眠、というパターンが完走者の典型的な休み方のようです。

その後、何度か1000km/1200kmを完走した後で見ると、1000km以上のブルベではこの仮眠の取り方が典型的・標準的なものだとわかります。しかし、600kmまでしか走ったことのなかった当時はこのペース配分を知りませんでした。

■自分のペース推移

黒線が私の走行ペース。青線の認定外完走者と同じペースで走りながら、最後の最後で挽回できた、数少ない例外だということがわかります。

時速15km以上で走れている(=貯金を作れている)区間は、220km地点の最初のPC、ビレンヌ・ラ・ジュエルまでと、780km地点の復路のルデアック以降のみ。その他の区間はマイクロスリープの多発で15km/hを維持できませんでした。

往路ルデアックまでに貯金が作れず、ルデアックの仮眠で貯金を使い切った後は、道端で仮眠したりブレストで昼寝したりして、どんどんペースダウン。復路のルデアックでは4時間半も制限時間をオーバーする事態になってしまいました。

363km地点の往路タンテニアックあたりから698km地点の復路カレ・プルゲあたりまで、つまり2日目は胃腸の調子が悪く、補給ができずにハンガーノックになっていったことも眠気の原因になっていたように思います。

復路ルデアックで仮眠をとった後の3日目以降は普段のブルベのペースに戻っていました。

■課題と対策
1)直前と前日に十分な睡眠時間が確保できなかった。
18:30スタートなので翌日夜までは仮眠なしで走るつもりでしたが、すぐ眠くなってしまい、220km地点のビレンヌ・ラ・ジュエル以降は貯金が増やせなかった。
【対策】夕方スタートなのに早々に会場に行ってしまいましたが、直前までホテルで寝ているか、スタート地点近くで寝るなど、直前の睡眠コントロールをするべきでした。

2)ルデアックで深い睡眠がとれなかった。
ルデアック出発後もすぐ眠くなってしまい、途中で何度も仮眠し、ブレストでも爆睡する結果に。これがペースが上がらなかった主要因でした。
【対策】せめて、無理にルデアックで休憩せずに、眠くなる地点まで走ればよかった。

3)十分な補給をしていなかったため、ハンガーノックになっていた。
手元の記録によると、220km地点の最初のPCヴィレンヌ・ラ・ジュエルまでの摂取カロリーは1200〜1500kcal程度。
普段の200kmブルベなら、少なくとも2000kcal以上は補給しています。普段よりカロリーが補給できていませんでした。
この後の異常な眠気もカロリー不足が一つの原因となっている可能性があります。
持参したカロリーメイトは食べていまいたが、ドリンクが補給できない中で、喉につまる食品を走りながら食べるのはかなりきつく、大量には食べることができませんでした。胃腸の調子があまり良くなかったことも痛かった。
【対策】水なしで食べられる補給食が必要。

4)(1)〜(3)の理由でスローペースになり、PCが混雑して停止時間が長時間化した。
最も人数の多い90時間の枠の中で2番めのウェーブでスタートしたたため、スローペースで進むと後続のウェーブと混ざっていきます。この結果、PCの食堂では常に長蛇の列が発生。毎回1時間ほど停止してしまいました。普段のブルベのPCでは、短ければ10分、長くとも30分程度しか停止しないのでこれがかなり痛かった。
【対策】ペースが遅れているときは停止時間を短縮して取り戻す。食堂を極力パスするために、補給食を多めに携帯する。

■まとめ
2015年のPBPは幸運にも時間内に完走できましたが、睡眠と補給のコントロールに失敗した結果、大きなピンチに陥ったと言えます。慣れないフランスの食事が合わなかったためか、胃腸の調子が悪かったことも問題でした。

直前にきちんと寝ることなどは日本の長距離ブルベと同じですが、コンビニのないPBP対策としては、「補給」が最重要だと考えます。
今年のPBPでは、以下に注意することにします。

・PCで長時間停止しなくても良いように、補給食+水を多めに持つ。意識してカロリーを摂取し続ける。
・ドロップバッグに食べ慣れた補給食を大量にいれておく。

PBP 2019年のPre-registrationは無事完了しました。前回の教訓を活かし、今年のPBPは途中のPCも制限時間をオーバーすることなく完走したいものです。

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2013年にロードバイクを購入してから、メインで乗っているバイクはずっとカーボン。いつかはクロモリのバイクに乗りたいと思っていました。どうせクロモリに乗るなら、自分に合ったフレームをオーダーしたいところです。

しかし、DISCブレーキ仕様のバイクを自信を持って作れるというフレームビルダーになかなか出会うことができませんでした。ある時、@barubaru24さんより、堺のソウカワガレージで作られているCornerが良いと聞いてこちらに相談。

評判が良いだけでなく、こちらの店主さんは対応がとても親切・丁寧で信頼できたので、初めてのオーダーバイクはCornerに決めました。※ちなみに次点はIndependent Fabricationでした。こちらもシクロクロスの大会で使われているなど、DISCブレーキの実績のあるフレームビルダーさんです。しかし少しお高く、アメリカのビルダーさんなので細かい相談をするには難がありそうなので今回は選びませんでした。

オーダー内容・仕様

600km以上の長距離ブルベを走るバイクとしてオーダーしました。具体的なオーダー内容は以下です。

油圧DISCブレーキ仕様、142mmスルーアクスル
ダウンチューブにダボ穴(ボトルケージ)
アヘッドステム
安定に振ったジオメトリ
一発の速さよりも30km/hで楽に巡航できることを優先
水抜き穴あり
完成車重量8kgくらい
フォークのクリアランスは28Cに対応
コンポはアルテグラ、BBのみデュラエース。RDは32Tに対応

ブルベの後半に疲労のためふらふらして落車したことが何度かあるため、ハンドルのクイックさは不要なのでとにかく安定性を重視してほしいと伝えました。これはフォークオフセットとヘッド角で対応できるとのこと。

過去に乗ったロードバイクで、自分に合ったものと合わなかったもの、その特性とジオメトリを伝えるとジオメトリを決める話がスムーズに進みました。このような経験がないと今回のジオメトリにはならなかったと思います。過去に何台も乗ってきた経験(とお金)が活かせたと言えます。

トップチューブはサドルバッグの取り付けを考慮して、ややスローピングすることに。

外観

塗装は上馬のCookPaintWorksに相談して決めていきました。赤い結晶の柄を基本に、下側に行くと黒になるようにグラデーションしてもらう凝った塗装です。(その分アップチャージもかかりました。。)

想像を遥かに上回る出来栄えに大満足。まるで工芸品のようです。

 

全体としては赤。下側はソリッドなブラック

フォークの肩に日の丸ペイント。フランスは右側通行ということで左側に配置。この国旗はこのバイクを印象づけるとても良いワンポイントになったので、両肩にペイントしてもらってもよかったかもしれません。

結晶模様の複雑な塗装です。一台として同じ塗装にはならないのだとか。

ヘッドバッヂもいい感じ。

インプレッション

早速翌日のBRM427倉敷600kmにて使用し、ノートラブルで無事完走。

ファーストインプレッションとしては「なめらか」な感じでした。漕ぎ出しが軽く、するっと進む不思議な感覚。DISCブレーキ用のリムのため、外周が軽いからそのように感じるのもしれない、とのこと。

また、DE ROSAに比べると路面の突き上げがとてもマイルドで、バンピーな路面でもそれほど車体が跳ねません。ZERTZ入りのSPECIALIZED Roubaix SL4ほどではないですが、それに近い振動吸収性です。日本のパイプはこういった特性のものが多いらしいです。

足の怪我が治ったばかりであまり踏み込めなかったため、剛性感はあまり確認できていませんが、安定していて、長距離を安心して乗られるブルベに最適な一台となりました。

これで夏のPBPを走る計画です。最高の機材が手に入ったので、あとはコンディションを整えて夏を迎えたいところです。

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