PBP2023 #8 走行編 ゴール:Rambouilletまで (〜1220km)
Villaines-la-Juhelにて
18:26 1017.7km地点 PC11 Villaines-la-Juhel
18:26にVillaines-la-Juhelに到着。
この街は夜も昼も応援の人がとても多く勇気づけられます。街も美しく、個人的には一番好きなPCです。
PC直前に眠気に襲われて落車してしまうなど、到着時はかなり頭がぼんやりしていました。
コントロールでサインをもらい、芝生に座り込んで落車のダメージを確認。右小指・右膝・右肘に小さな擦過傷があり、レッグカバーはやぶれてしまいましたが、傷自体はたいしたことはなさそうです。キズパワーパッドを貼り、予備のレッグカバーに交換して処置完了。念のため持っていたキズパワーパッドが役立ちました。
この右あたりでマイクを持ったDJがインタビューしていました。
休憩していると少し頭がはっきりしてきました。軽く補給してボトルに水を入れて自転車にまたがり、リスタート前に写真を撮っていたところ、マイクを持った会場DJ(?)から突然名前を呼ばれました。
「〇〇(名前)さんですね。フランス語で話せる?」
「できません」
いくつかの大きめのPCにはステージがあり、イベントやミニライブをやっています。
このPCではマイクを持ったDJがノリの良いトークをしていました。モータースポーツのサーキットのような雰囲気です。どうやらゼッケンナンバーで名前を調べて参加者に話しかけているようでした。
聞かれるままにPBPは3回目であることなど英語で話したところ、
「◯◯さんは日本からの参加者でPBPは3回目!この先もがんばってください◯◯さんー!!!」
というようなマイクでの紹介トークをしてもらえました。(フランス語なので内容は想像)
PC内に大音量で自分の名前が連呼されるのはちょっと恥ずかしいですが、良い思い出になりました。この後、日本人の方から「PCで名前呼ばれてましたねー」と言われたりしました。
このPCは40分ほどの停止時間でリスタート。
Mortagne-au-Percheまで(〜1099.0km)
Villaines-la-Juhelは19:10に出発。なんとか眠気も収まりました。足の痛みがあるので速度は出せないですが、Villaines-la-Juhel以東は起伏がゆるやかになることもあり堅調に進みます。
そしてPBP最後の夜がやってきます。
日が暮れた後、収まっていた眠気がまた襲ってきます。時折、道端の芝生に寝転んで数分間眠ったりしていました。落車する前に自ら止まらないといけない。
どうにか走り切って、23:46にMortagne-au-Perche(モルターニュ=オー=ペルシュ)に到着。
23:46 1099.0km地点 PC12 Mortagne-au-Perche
相変わらずスローペースでの走行でしたが、600km以降の制限時間緩和のおかげでなんとか3時間の貯金ができています。これならなんとか睡眠時間が取れる。すぐに仮眠所に行きます。
ここの仮眠所はマットレスが薄くペラペラで、隣の人との距離が近くいびきが気になるような場所でした。PBPで見た仮眠所の中ではかなり劣悪な環境だと言えます。スペースはかなり余っていたので参加者を一箇所に集めなければもっとゆとりがあったと思うのですが・・・。次回は耳栓を忘れずに持っていこうと思います。
お世辞にも快適な仮眠所とは言い難い場所でしたが、とても疲れていたのであっさり入眠でき、2時間ほど眠りました。
起きてすぐに食堂に行きます。モルターニュといえばこのパスタという印象。特別に美味しいわけでもないのですが、1000km走って疲れた身体にはこの食事が染み込むように入っていきます。
なんとか最後の仮眠を終えて、PCクローズ時刻の3時ちょうどにモルターニュを出発しました。
Dreuxまで(〜1176.9km)
PCを出て走り始めると「むわっ」とした温かい空気を感じます。気温を見るとなんと22度。湿度も高くまるで日本のようです。防寒装備は全く必要ない温度でした。
しっかり眠り補給したので回復できており、心配していた雨もなく気温も良好。
ゴールまでは残りわずか120km。トラブルなくまともに走ることができればゴールできるはずです。
最後の朝焼けが美しい。今回のPBPは天気に恵まれて快晴が続き、このような雲が出てきたのは最終日くらいでした。
仮眠直後はペースを取り戻して走ることができていますが、結局一度も長時間の睡眠を取ることができなかったので「睡眠負債」とでも呼ぶべきものが蓄積しています。
なんとか走れているものの、気を抜くとまた眠気に支配されてしまいそう。カフェイン錠剤を使用したり補給食を口に入れたりして眠気を凌いでいました。
次のPCまで30〜40kmというあたりに差し掛かった頃、日本人の方を見かけてお話していたところ、一緒に走る流れになりました。
ここで出会ったshuheiさんのペースは速く、未だ足の痛む自分がついていけるのか自信がなかったのですが、不思議と速度を上げても痛みが現れません。一人で走るよりも明らかに話しながら走る方がペースが良い。会話していると眠気も収まりました。地獄に仏とはこのことです。
shuheiさんのおかげでペースアップして、あっという間にDreux(ドルー)に到着。
残り距離はわずか44kmですが、念のため少し多めに最後の補給を取りました。Dreuxも40分ほどの停止時間でリスタート。
ゴール:Rambouilletまで(〜1220km)
この後もshuheiさんと共に走ることに。疲れ切った最後の区間に共に走る人がいるのは非常にありがたい。会話をしながら楽しく進みます。
この頃、エアロポジションの姿勢にすると足の痛みが出づらいことに気づきました。DHバーは付けていないのですが腕をハンドルバーの上に置いて、あたかもDHバーを握っているような姿勢にしてみると痛みなくスピードも出せてとても楽。
今回のPBPからDHバーが解禁され多くの人が使用していましたが、信号なくずっと走り続けるPBPとの相性はかなり良い気がしました。
Dreux以東のコースは平坦基調。時折、Villaines-la-Juhel以西には見られなかったようなフラットな景色が現れます。
「こういう景色はVillaines-la-Juhelより先にはなかったですよねー」
とshuheiさんと話しながらリラックスして進みます。
いつしか周囲を走るランドヌールの表情も緩み、にこやかに談笑しながら走る人が目立ちます。残り距離と時間を考えればもう大丈夫。皆そう思っているのでしょう。
そして・・・
そして、ついにゴールすることができました。
2015年の設備は簡素でくぐるゴールゲートもなく、直前に雨が降っていた影響で応援の人もほとんどいないという寂しいゴールでしたが、今回は多くの応援の人達が見守る中、ガッツポーズしながらこのゲートをくぐることができました。
最後まで眠気が残り足取りも重かったですが、一緒に走ってくれた方のおかげで余裕を持って完走することができました。最後の区間を共に走ったshuheiさんとはゴールのタイミングではぐれてしまい、その後お話できなかったのは残念です。
タイムは87:58。無事に時間内に完走してメダルをもらうことができました。
前回の2019年はDNF、前々回の2015年は一部PCの到着が大幅に時間超過しての完走でした。3回目にして初めてすべてのPCを制限時間内に通過して完走することができました。
2019年のDNFはショックが大きく、しばらくは思い返したくもないほどでしたが、ようやく前回のリベンジを果たすことができました。感無量です。
最後のDreuxからゴールの間で一瞬雨が降ったものの、基本的にはずっと晴天で一度も雨装備を使うことはありませんでした。ゴール後30分ほどすると初めてまともに雨が降り始めたので、運良く雨を回避することができたようです。
例年のような寒さもなく、天候と運に恵まれたPBPでした。
記録としての走行編はここまでです。次回以降は、今回のPBPでうまくいったことや問題点、三度のPBP出走経験を踏まえたPBPの攻略法などをまとめてみようと思います。
※参考:PBPゴールゲートの様子(はまいぬさんの動画)
歓喜の瞬間 pic.twitter.com/a106kSajbu
— はまいぬ@SR600白馬 (@hamainu0) August 24, 2023